ケニア南東部のクワレ郡に位置するルンガ・ルンガ地区は、タンザニアとの国境近くに広がる地域です。広大な地域であるため、住む場所によっては医療施設までの距離が遠く、妊婦が健診や母子保健サービスを受けるために、長い距離を移動しなければならないことが大きな課題となっています。
特に妊娠中の超音波検査は、母子の健康状態を確認し、合併症の早期発見につなげるために重要です。しかし、検査を受けられる施設が限られていることや、移動距離・交通費の負担により、必要な健診を継続して受けることが難しく、出産時になって初めて合併症が分かるケースもあります。
POCUS(ポイント・オブ・ケア超音波)プログラムは、地域の診療所で超音波検査を受けられる環境を整えることで、妊婦がより身近な場所で必要な医療サービスにつながれるよう支える取り組みです。ドテラ・ジャパンは、パスポートプログラムを通じて、この活動を支援しています。
地域医療を支える実践的なトレーニング
このプログラムでは、地域の医療従事者を対象に、超音波機器の使い方やスキャン方法、画像の読み取り方、心拍数の確認方法など、実践的なトレーニングを実施しています。機器の扱い方だけでなく、実際の診療現場で問題が起きた際にも対応できるよう、実践を通じた研修が行われています。
医療従事者がPOCUSのスキルを身につけることで、地域の診療所でも合併症を早期に発見しやすくなり、必要に応じて郡の医療機関へ紹介し、早期の対応につなげることができます。こうした取り組みは、母子の健康を支える大きな力となっています。

支援が生み出す価値
身近な診療所で超音波検査を受けられるようになることで、交通費や移動時間の負担が軽減され、妊娠初期・中期・後期に必要な検査も受けやすくなります。母子の状態を早い段階で確認できることは、深刻な状況を未然に防ぐことにもつながります。
ルンガ・ルンガ地区は、以前はクワレ郡内でも妊産婦死亡数が最も多い地域でした。しかし、POCUSプログラムの導入後、その数は減少しています。これまで長距離を移動しなければならなかった妊婦たちも、今では徒歩2〜5分ほどで支援を受けられるようになり、24時間体制で看護師が常駐し、出産に対応できる体制も整えられています。